<1996年イヤーブック「創部20周年特別企画 主将に聞く」より抜粋>
まだ残暑の雰囲気の残るあの年の秋、我がチームはリーグ戦を好調に勝ち進んでいた。足利工業大学には100点ゲームで大勝し、難敵宇都宮大学のオプション攻撃を封じ、後半戦に控えた帝京大戦、神奈川大戦の前に武蔵工大と戦う準備をしていた。大方の予想では問題なく我々が優位に勝ち、ブロック優勝をかけて後半の2大学と3つ巴の争いをする予定だった・・・。試合前日のハドルでは筑波の強さを思い知らせようなどと気勢を挙げた。スカウティングも万全で、相手の攻撃ではタイトエンドのリバースに注意することを確認した。
夜、豪雨となった。グラウンドは足首まで埋まる田んぼ状態でわれわれの得意とするパスプレーとQBキープは時折ロングゲインするもタッチダウンまで届かず、予想に反して0−0のまま後半に突入した。双方キックの繰り返しでフィールドほぼ中央からの武蔵工大の攻撃、来た!タイトエンドのリバース!このリバースは反対のオフガード付近をエンドが早めに上がってくるタイプである。しかしタックルをしようとした選手がグラウンドに足をとらわれて動けない。腕だけのタックルミスを重ねロングゲインのタッチダウンを奪われた。キック失敗。6点を追い得意プレーで時折ロングゲインを奪うも得点できず試合終了。我々は体中の穴という穴まで泥まみれになりながら呆然と立ちすくんだ。
うぬぼれるな、勝つと思うな、思えば負ける。このとき体で知ったこの言葉。いくら練習してもやればやるほど不安になるときがある。本当に勝てるのだろうか?こんな思いのときはまず勝てる。まあ何とかなるだろう、練習はこのぐらいでいいや。この雰囲気のときはたとえ相手が格下でもまず負けるのだ。